最終更新日時 2004/04/16 06:21


なにはともあれ、無事保護されたようで、よかったよかった・・・。


散見される不自然な点

 以下に挙げるのは、自分自身がニュースに当たって見聞した情報であり、伝聞や掲示板でしか確認出来ない情報はなるべく入れないようつとめたものである。  しかし、それらの中には疑問に思うものが少なくない。 それを逐一リストアップしてみたい。

▼犯行判明時の情況

(1) 犯行グループの存在自体が不透明
人質映像から判断すると、銃器は現地で一般的なカラシニコフ AK47ではない。 普通は安価かつ扱いやすいカラシニコフを使うであろう (イタリア製 M70だとの情報があるが裏付けは取れていない)。
現地では高額なスニーカーを履いている。
あの場所で日本人複数人(現地では目立つ)を拉致するには、地元の協力無くしては難しい(イラク社会は相互監視意識が強い)。
拉致を目撃したタクシー運転手アブフセイン氏(30)の話では、犯人達はオペル(ドイツ車)に乗っており、金品は要求していなかった。
以上の事から、財力組織力とも相当のグループと思われるが、現地において、そのグループを知る者がいない。
しかも地元では「なぜ日本人を?」という意見が大半。

(2) 犯行の現場状況が不透明
拉致現場を目撃したタクシー運転手はいるのに、拉致された3人を乗せていたタクシー運転手アブ・タハシン氏(←これは通称で本名はカーシブ・アブダッラ・アルアタービ?)は当日夜を最後に行方不明。
アブ・タハシン氏を手配したヨルダン地元のタクシー会社アル・アンドラスの幹部アブドル・アジス氏によれば、「今回はなしのつぶて。いったい何が起きたのだろう」との事。

(3) 犯行声明の作成過程が不自然
3人が捕まってからわずか1日でビデオを CD-Rに落としホテルや放送局に配布という手際の良さ。
使用されたビデオカメラは SONY製である可能性が高い(NIGHT SHOT機能が使われている)。
犯行声明として配布された CD-R媒体はなぜかイスラエル製(ニュースソース不明画像は有り)。

(4) 犯行声明の内容が不自然
3日以内に自衛隊撤退の決断をせよ、ではなく撤退せよ、と要求している。 しかし約 800人もの部隊を3日で撤収せよというのは現実的には不可能な要求である。  明らかに不可能な要求をするのはなぜなのか。
米英に対する憎悪が語られているにも関わらず、米英に対する要求は一切無い。
日付がイスラム暦ではなく西暦になっている(しかも yyyy/mm/ddという日本的な表記)。 「アッラー・アクバル」と言うような者がアラビア語で手紙を書いたのに「イスラム暦の日付がなくて西暦のみ」というのは不自然。
ムジャヒディンとはイスラムの聖戦士を意味するが、犯行声明に宗教的修辞(コーランの引用など)が無い(04年 4月10日放送 NTV「ウェークアップ」大野元裕氏の指摘)。

(5) 犯行声明の放送自体が不自然
人質焼殺の期限は犯行声明を放送してから3日なのだが、なぜかアルジャジーラは放送してしまった。 放送せず秘密裏に日本政府に映像を渡せば、期限はいくらでも延ばせたはずである。
放送してしまった事に対して、日本政府からアルジャジーラを非難するコメントは一切無い。
人質家族からも、アルジャジーラを非難するコメントは一切無い。 普通ならば、家族に無断で放送し殺害期限をわずか3日にしてしまった事自体を怒るのではなかろうか。
放送されない可能性(アルジャジーラから日本政府へ秘密裏に・・・というパターン)を考慮すると、犯行グループの取った手段は不自然。

(6) 人質の状況が不自然
身体を完全に拘束されていない。
映像で、身分証明証ではない単なる朝日新聞の入館証がテレビに映された理由が不明。


▼解放宣言ファクス放送時の情況

(7) 犯行グループの解放宣言ファクス内容が不自然
宗教的な修辞は有るが極めて少ない。
自衛隊撤退を日本国民に要望する内容であり、米英へは悪意こそ感じ取られるものの要求や要望は全く無い。
日本人を標的にし、生きたまま焼くとまで言っておきながら、日本国民の意思尊重に言及するのはなぜか。
自衛隊撤退だけでなく、日本の政治家非難、政府への圧力要請にも言及しているが、彼らがなぜそこに言及するのか、彼らなりの必要性が見えない。
彼らはどうやって日本の「市中」での声を聞いたのか。
自ら外国人誘拐という国際的に非難される方法論を用いながら、国際的に禁止された爆弾を非難するのはなぜか。
駐留は違法と主張しているが、イラク国内法(暫定法)に照らして違法であるなら各国が派遣出来るはずはなく、何を根拠に違法と言っているのか(日本の国内世論に照らした意見?)。
そもそも人質を解放するのは、犯行グループにとっては重要な犯行証拠を敵に差し出す事になり、極めて不利な選択である。  米国に警告するために米国人を殺害しているような国の人間が、人質を解放するのは不自然ではないか。
最後に書かれている西暦日付は4月9日を10日に書き換えた跡があり、解放自体は最初から織り込み済みだった可能性がある。
誤字脱字が8カ所、しかも西暦は日付が訂正されているがイスラム暦の方は直されていない(テレビ朝日報道より)。
そもそも、なぜファクスなのか、という疑問もある。 現地では通信インフラが整っておらず、記者ですらファクスが使えない事がほとんど (だから電子メールが多用される)であるという。


▼その他の情況

(a) 犯行声明にせよ解放宣言ファクスにせよ、犯行グループの存在を証明出来る証拠が何もない。 しかし、否定出来る証拠もない。
(b) 解放宣言ファクスにはスンニ派聖職者の説得に応じたとあるが、その聖職者の実体も不明(そもそも人質の映像に映った犯人たちの黒い服装は、シーア派民兵の典型的なものである:AP通信報道より)。
(c) 人質3人の普段の主張と家族の主張、そして犯行グループの主張とが、自衛隊撤退の1点で一致している。以下は3人のプロフィールである。
今井紀明(18) 北海道札幌市西区在住 市民団体代表
 札幌市西区在住で、今春、札幌近郊の高校を卒業したばかり。 現在は市民団体「NO!!小型核兵器(DU)サッポロ・プロジェクト」の代表で、 フリーライター。 高校在学中から熱心に劣化ウラン弾について研究し、惨禍を訴えている。 家族にイラク行きの目的を 「平和を訴える絵本をつくるために、この目で現地を見ておきたい」と語った。
郡山総一郎(32) 東京都中央区在住 週刊朝日フリーカメラマン
 宮崎県出身で、地元高校を卒業後、自衛隊員や運転手などを経てフリーカメラマンになり、タイのエイズ問題などの取材経験がある。  イラク入りは2度目。 03年4月のバグダッド陥落時に初めて現地入りし、復興に動き始めた市民らを撮影した。  再訪のために工事現場で2カ月間働き、約60万円をため、先月31日、成田空港を出発した。
高遠菜穂子(34) 北海道千歳市出身 ボランティア NGOメンバー
 北海道千歳市出身で、麗沢大学(千葉県)外国語学部英語学科卒。 30歳を機にインドなどでボランティア活動に専念するようになった。  イラク入りは3度目。 過去2回は約3カ月間ずつ滞在し、NGOなどに所属せず、単身で10代後半の孤児らの世話を中心に活動。  今年2月に一時帰国し、札幌市などで報告会を開き、今月1日に出国した。
(d) 解放宣言が届いた時、人質家族はアルジャジーラに対しても謝辞を述べているが、そもそも4月11日までの3日間という期限になったのは、 アルジャジーラが放送したからである。 にも関わらず非難ではなく謝辞を述べるのはなぜなのか。
(e) 今井氏は未成年であるが、誰も彼のイラク入国を止める事は出来なかった。 この点に関して周囲の大人達の言動は実に不可解である。
(f) 他の2人は海外経験もあるが、今井氏は英語をほとんど話せない。 当然、アラビア語圏の言語に堪能であるとは考えられない。  そんな人間が混乱した地域に行っても足手まといになるだけである。 何をしに行くつもりだったのだろうか?
(g) あれほど要望されながら、なぜ首相は家族との面会を拒むのか。 他の閣僚や野党党首は面会しているのに、これでは人質家族が不信感を抱くのは当然である。



これら全てを合理的に説明する事は出来るか

 以上に挙げた「不自然な点」全てを矛盾無く説明出来るシナリオはあるだろうか。 自分なりに考えてみると、それは次のようなものだ。

(1) (a) (b)  犯行グループはもともと存在しない、と考える方がより自然である。
(2)  人質3人が解放されれば、全てを知るのはこの3人だけとなる。
(3)  ビデオ編集などを行う高度な PC操作は日本人ジャーナリスト・NGOなら充分可能。 余談だが今井氏は iBookを持っている(NHKニュース映像より)。  つまり「iLINK接続によるビデオ編集と CD-R作成が可能な機材」とともに移動している可能性がある。
(4)  イスラムの者ではなく、日本に詳しい者が作成した疑いが強い。
(5)  日本政府はアルジャジーラが放送する事を承知していたのかもしれない。 もしそうならば、人質が安全である事を察知していた事になる。  人質が安全であると考えるに足る理由としては、「交渉の余地がある」か、「人質の狂言か」、「政府の狂言か」、くらいしか考えつかない。
(6)  犯行グループは、生きたまま焼くと声明しているが、人質に直接危害を加える意図は無いのかもしれない。
 入館証については、朝日系列である事を示したい意図があったのか?
(7)  日付に関しては、日本での指摘を見てから変更したかのようである。 主張内容からは、日本に詳しい者が書いたと推察出来る。
(c) (2) (4)  人質が普段から主張している事と同じ主張をする何者かが、「人質の自作自演を装った」疑いが持たれる。 中東地域で日本の事情に詳しく、 そのようなイデオロギーを持つ「組織」といえば、日本赤軍が最も妥当であろう。
 もし日本赤軍が関与しているなら、行方不明のタクシー運転手は口封じのため殺害されている可能性が高い。
(d)  もし人質の狂言であるならば、人質家族も狂言である事を知っていた疑いがある。
(e)  家族のみならず周囲の関係者も無謀な行動を黙認もしくは後押ししていた感がある。 さらに、今井氏の母親は 「本人が行きたいと言えば再び行かせる」という発言を TV出演でしていた。
(f)  周囲の大人と両親の無謀とも言える現地の危険認識と、本人の並々ならぬ決意が、彼をこの時期のイラク旅行へと駆り立てたのであろうか。  それとも、今井氏の「何か」を必要としている誰かが、今井氏のイラク行きを強く要望したのか?
(g)  おそらく、首相は今回の事件を「基本的には『冬山遭難』である」と考えているのではないだろうか。  また、家族と面会する事で国事を止めたりするような事態を招いては犯行グループに「揺さぶり成功」と思われるから、という考えもあるだろう。

 もし人質の自作自演だったとすれば、(5)において日本政府はさらに上手を行っていた事になり、高く評価されてしかるべきであろう。  自作自演でなかったとしても、結果的に人質は無事で、国策である自衛隊派遣も変えずに済むわけで、国際評価は高まるだろう。
 その観点からは、人質の狂言ではなく、政府当局が仕組んだ狂言であるという可能性も浮上するが、国がそんな事を引き起こす強い理由が見当たらないので、 この可能性は否定してよいと考えられる。



犯行声明について

 これについての疑問は (4)に示した通りである。
(緑字部分は日経より無断引用、なおソースのコピーはこちら

 日本人3人を拘束したイラクの武装グループの声明全文は次の通り。

 われわれは、あなたたちに友情と尊敬、愛情を抱いてきた。
 だが不幸なことに、あなたたちはそれに対して恩知らずにも敵意を返してきた。 米国の不信心で堕落した軍隊に武器と兵士を提供した。  それにより、われわれのプライバシーに干渉し、神聖な場所と土地を汚し、われわれの血を流し、われわれの名誉を損ね、われわれの子供たちを殺した。
 そこで、われわれはあなたたちに同じ方法で応えなければならない。 あなたたちに告げる。 殺りくにかかわったあなたたちを歓迎しない。  われわれに戦争を宣言したあなたたちを歓迎しない。われわれはあなたたちの子供3人を人質として捕まえたことを告げる。
 あなたたちに2つの選択肢を提供する。 われわれの国からあなたたちの軍隊を撤退させ帰国するか、あるいは、3人を生きたまま焼き、 血に飢えた戦士たちの食物とするかだ。 ファルージャでユダヤ人に対してやった以上のことを3人にもやるだろう。  このビデオテープが放映された後、あなたたちに3日間の猶予を与える。



解放宣言ファクスについて

 犯行声明に比べると、解放宣言ファクスの内容は疑問に思える点が多い。 自分の主観では、犯行声明と解放宣言ファクスはほとんど呼応していないと思える。
(緑字部分は産経より無断引用、なおソースのコピーはこちら

 カタールの衛星テレビ、アルジャジーラが10日伝えた「サラヤ・アル・ムジャヒディン(戦士旅団)」の声明文全文は次の通り。

 拘束した日本人3人についての日本政府のコメントを聞いたが、日本国民の気持ちを尊重する意図が全く感じられない。  これら政治家は、日本国民の意思を代表しておらず、ブッシュ(米大統領)とブレア(英首相)という2人の犯罪者の代理人となっているのが真実だ。
 日本の市中での声も聞いた。 日本の市民に訴えたいのは、米国が広島と長崎への原爆投下によってあなたがたを傷付けたということだ。  ファルージャでも国際的に禁止された爆弾によって同じことが起きている。  世界に知らしめたいのは、イラク抵抗勢力は外国市民を標的にする考えはないということだ。
 われわれが信頼し、勇気あり英雄的なイスラム教聖職者団体が、今日の夕方、日本人人質の釈放を求めた。  われわれは、家族の苦しみに配慮し、日本人の(事件への)姿勢についても尊重することにした。 よって以下のことを決めた。
 (1)われわれは、イスラム教聖職者団体の日本人人質を即時解放せよとの呼び掛けに応じ、24時間以内に解放する。 神のご意志のままに。
 (2)米国の圧迫に苦しむ日本の友人に要求する。イラクから日本の部隊を撤退させるように日本政府に圧力をかけること。 なぜなら駐留は違法だからだ。
 神は偉大で聖戦は勝利まで続く。
 2004年4月10日、サラヤ・アル・ムジャヒディン(共同)

 なお、朝日新聞掲載の訳文には、上記の訳文より強いイスラム教的宗教色がうかがえるようだ。



その他、謎を含む報道

首藤信彦氏(衆議院議員・危機管理のスペシャリストでもある)は、犯人達の銃について銃弾の互換性が無い事、 およびほとんど使われてない新品の武器を持っている事を指摘し、犯人達は未熟であると推察。 (04年 4月11日放送 テレビ朝日「サンデープロジェクト」)
解放宣言ファクスにある「広島と長崎に原爆・・・」という部分について、和田圭氏(フジテレビ解説委員)は 「本当にイラク人がこんな事を言うのか、と政府内でも皆あきれている」と疑問を呈した。
同席していた大野氏は「教養のあるイラク人は広島、長崎のことはよく知っている」と断った上で 「実は、手紙では『ヒロシマ、ナガサキ』は『ホロシマ、ナザキ』と書いてあり、教養のない人が書いたのではないか」と 述べた。(04年 4月11日放送 フジテレビ「EZTV」) これは要するに、「イラク人が書いたとは考えられない」という事であろう。
イラク邦人人質事件で、「サラヤ・ムジャヒディン(戦士旅団)」を名乗る犯人グループと、 人質となった北海道千歳市のボランティア高遠菜穂子さん(34)との間に接点があった可能性が浮上した。  (中日新聞記事の無断転載
「日本人もいた」一時拘束された韓国人牧師が証言 (産経新聞記事の無断転載1および2
「時間がないんです。そんなこと話している時間がないんです。特殊部隊を入れないで下さい、絶対にそれだけは駄目なんです。どうしても助けなきゃいけないんです」(高遠菜穂子さんの妹・井上綾子さん、、外務省職員に対して10日夜の発言
「米兵が1軒1軒突入して人質を捜していると聞くが危険が及ぶのでやめてほしい」(4月11日午後11時頃 日テレ報道 高遠菜穂子さんの妹・井上綾子さん単独会見での発言)
なぜここまで詳細捜査を拒むのかが不明。 普通は何としてでもしらみつぶしに捜してほしい、と頼むのではないか?



付録

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まとめサイト(2ちゃんねる過去ログ、関連スレなど)
http://pposew.tripod.com/
http://perape.hp.infoseek.co.jp/memo/000/0409_iraq.htm
立川談志の所感を無断転載
古舘伊知郎の所感も無断転載




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